近刊



動物たちの日本史

  • 中村禎里著/46判264頁、本体価格:2400円/ISBN978-4-87525-250-1
    埴輪の時代から現代にいたるまで、日本人と動物とのかかわりをずっと研究してきた著者。本書では日本人の動物観に影響を与えたさまざまな史実や文学作品を紹介し、また取材旅行の紀行文やエピソードを盛り込んだ味わい深いエッセイである。



    アートぬり絵
    ――バイオアート入門

  • 岩波洋造著/B5判164頁、本体価格:2400円/ISBN978-4-87525-248-1
    ■■生物の組織の顕微鏡写真などを素材に、大人から子どもまでが楽しめる格調高いアートに挑戦してみませんか。生物が何億年もかけて造った組織の美しさに魅了された著者の精力的な活動のノウハウを公開。美しいミクロの世界はあなたに明日への活力を与えてくれるでしょう。



    なるほど量子力学III
    ――磁性入門

  • 村上雅人著/A5判260頁、本体価格:2800円/ISBN978-4-87525-249-8
    ■■量子力学によって元素が有する磁性にも光が当てられた。ミクロ世界の磁性、これが本書のテーマである。電子が運動すれば磁場が発生する。しかし、原子内では、電子そのものがスピンと呼ばれる磁場を持っている。 ■スピンそのものは、量子力学の数式展開によってえられたものではなく、物理現象を説明するために導入された概念であるが、それに量子力学を適用した結果、古典力学では説明のできない強磁性という性質が説明できるようになった。それは交換積分と呼ばれる項である。 ■強磁性に関しては、系統的に解説している参考書がなかった。そのため、多くの章について、あらためて一から計算を始める必要があった。何人かの読者からは『量子力学III』はまだかという激励のメールをいただいたが、思いのほか時間を要してしまった。 ■時間もかかったが、ある程度ミクロの世界の磁性について一般のかたにもわかっていただける内容になったのではないかと思っている。     (本書「はじめに」より)



    ウォームービー・ガイド
    ――映画で知る戦争と平和

  • 田中昭成著/46判432頁、本体価格:2800円/ISBN978-4-87525-246-7
    ■あらゆる角度から戦争映画を分析.映画を通して戦争を体験し,そこから何を学ぶか,読者に問いかける.【取り上げたウォームービー】プライベート・ライアン/プラトーン/戦火の勇気/ワンス・アンド・フォーエバー/ブラックホーク・ダウン/プルーフ・オブ・ライフ/博士の異常な愛情/クリムゾン・タイド/フルメタル・ジャケット/タップス/英雄の条件/7月4日に生まれて/天と地/ヒマラヤ杉に降る雪/すべては愛のために/マーシャル・ロー/JSA/父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙/華氏911/東京裁判/フォッグ・オブ・ウォー【軍事ジャーナリスト・神浦元彰氏】:この本でスクリーンの戦場に秘められた軍事情報が初めて語られた。



    合気開眼――ある隠遁者の教え

  • 保江邦夫著/46判224頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-247-4
    ■好評『武道の達人』の姉妹版.世界でただ二人しかできない技=合気の技を獲得した著者が,いよいよその神秘の奥義を公開!●もくじ● 【独白――まえがきに代えて】/ 【合気について】合気とは何か/合気道は合気なのか/合気は日本に固有のものか/汝の敵を愛せよ 【合気への長い旅路】田舎高校生の憧れ/いざ大学合気道部へ/夢やぶれたならば/逃避と再会/運命の出会い/合気の化身/外国での苦い体験/四股千回! 【合気に出会ってからの長い旅路】合気の達人に入門/素晴らしき一年/突然の都落ち/悪あがき/合気道部顧問/知るよしもない出来事 【はるかなる魂の叫び声】カトリック伝道師との出会い/再び合気の達人の下へ/隠遁者様の下へ/心の在処/隠遁者様の教え/脳と意識の量子論 【合気修得への近道】自分への挑戦/もはやこれまで/聖地巡礼/人生のオマケ/兄弟子木村達雄との再会/合気の真実/合気と物理学者/合気開眼!? 【合気への挑戦】合気の不思議/合気の葛藤/合気の原理/合気と腕相撲/腕相撲に負けて得られた発見 【合気の科学】合気のメカニズム/コンピューターに学ぶ/合気とコンピューターウイルス/精神と物質/合気の現象論 【合気の実験検証】腕相撲による合気の実験/無心の極意/投げ技による合気の実験/合気揚げによる合気の実験/空気投げと合気/運動神経系と随意・不随意運動/脳波による合気の検証 【人間とは何か――あとがきに代えて】



    量子力学と最適制御理論

  • 保江邦夫著/B5判240頁、本体価格:5000円/ISBN978-4-87525-244-3
    ■この世界をあまねく支配する普遍的な基本法則としての最小作用の原理から,量子力学を具体的に構築しなおした記念碑的著作.●目次:第1章 質点の力学は最適制御理論の要/ 第2章 質点系の力学は最適制御理論の礎/ 第3章 量子力学は最適制御理論として生まれた/ 第4章 量子の力学は確率制御理論で書ける/ 第5章 最t劇制御理論から見た量子力学は確率変分学の温床/ 第6章 量子系の力学を確率制御理論で論じる/ 第7章 新しい最適制御理論の黎明/ 付 録 粘性流体方程式と最小作用原理



    数の理論

  • A-M.ルジャンドル著,高瀬正仁訳/B5判520頁、本体価格:8000円/ISBN978-4-87525-245-0
    ■名著・大著の翻訳なる! フェルマからオイラー,そしてラグランジュへと流れる17,8世紀の数論の大河を, 名手ルジャンドルが活写.●目次:序 論 数に関する一般的諸概念/ 第一部 不定解析に関するさまざまな方法と命題の解説/ 第二部 数の一般的諸性質/ 第三部 三個の平方数に分解可能と見なされる数の理論/ 付 録 解説



    ハミルトンと四元数 ――人・数の体系・応用

  • 堀源一郎著/A5判360頁、本体価格:3000円/ISBN978-4-87525-243-6
    ■1843年10月16日,ダブリン郊外のロイヤル運河沿いを夫人と連れ立っていたハミルトンの脳裏に,閃光がひらめいた.四元数の誕生である.手帳に記録するだけでは心の高揚を抑え難く,ブルーム橋の石の欄干に式をナイフで刻み付けた.複素数を拡張して空間のベクトルとしての働きに応えられるものを模索していたハミルトン.それがついに新しい数の体系・四元数に行き当たったのである. とくにコンピューター全盛の今日,ベクトル解析などの計算も,四元数に直して計算するほうが簡単・便利と考えられる.また,幾何学や三体問題,剛体の力学,幾何光学,ローレンツ変換などに四元数を適用・展開すればどうなるか……ここに具体的に例示し,四元数の入門書として,読者に供する.●目次:(第I部)ハミルトン/ 第1章・ハミルトンと四元数/ 第2章・四元数の発見/ 第3章・ハミルトンと現代物理学/ (第II部)四元数とその性質/ 第4章・ベクトル/ 第5章・四元数の導入/ 第6章・四元数の記法/ 第7章・四元数のいろいろな性質/ 第8章・四元数のベクトル代数への応用/ 第9章・四元数のベクトル解析への応用/ 第10章・ナブラ/ 第11章・ベクトルのベキとeのベクトルベキ/ 第12章・四元数の行列表現/ (第III部)四元数の応用/ 第13章・平面幾何学/ 第14章・正多面体/ 第15章・平面三角法と球面三角法/ 第16章・質点系の力学/ 第17章・剛体の力学/ 第18章・幾何光学/ 第19章・ローレンツ変換



    新刊



    アカデミック・ハザード――象牙の塔殺人事件

  • トーマス・神村著/46判248頁、本体価格:1000円/ISBN978-4-87525-242-9
    ■これは、内部告発か……迫真のドラマ! アメリカで教育を受け、日本の大学で職を得た主人公が目にしたものは…およそ学問とは無縁の、欲望と利権の渦巻く闇社会であった。




    武道の達人――柔道・空手・拳法・合気の極意と物理学

  • 保江邦夫著/46判224頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-241-2
    ■達人たちの技を物理的に解析。空気投げ、本部御殿手の技、少林寺拳法の技(王貞治の一本足打法も)などは力ではなく、理にかなった動きであった! 数々の秘伝が物理的に明らかにされる。しかし、それだけではない。「合気揚げ」といわれる神業?を分解写真でもって公開する。それは「物理学」を超えたなにかを予感させる……。著者はいう:「楽して人を倒す術を求め続けたなまけもの物理学者の半生を初公開」

    著者のホームページ




    破局――人類は生き残れるか

  • 粟屋かよ子著/46判248頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-236-8
    ■我々は、今、立ち止まらなければならない! 地球温暖化、それは人類の暴走の結果であり、人類滅亡への警鐘でもある。環境のさらなる急激な悪化が、具体的科学的に明らかになってきた。また遺伝子汚染・公害の隠蔽など問題は山積している。我々に遺された時間は少ない……。人類の営みを地球史から根源的に考える。



    モスクワの数学ひろば2――幾何篇/面積・体積・トポロジー

  • ゲイドマン他著・蟹江幸博訳(蟹江幸博監修)/A5判182頁、本体価格:2000円/ISBN978-4-87525-238-2
    ■オイラーの流れをくむロシアの数学は、若い才能を育てることにも力をそそぐ伝統がある。1934年からモスクワ大学で高校生向けの公開講座が開かれ、コルモゴロフ、ゲリファント、ポントリャーギンなど伝説的な数学者が講義をしてきました。その伝統を受け継ぐモスクワ独立大学での講義から、選りすぐって翻訳。■本巻は、次の三つの話題からなる:ゲイドマン「多角形の面積」、サビトフ「多面体の体積」、スミルノフ「閉曲面を巡って」。■ユークリッドの平面幾何、空間幾何、閉曲面の位相幾何(トポロジー)である。前の2つは長さ、角度、面積など測ることができるものが活躍する幾何学で、3番目は伸ばしたり縮めたり裏返したりしても変らない図形の性質を調べる幾何学である。



    モスクワの数学ひろば3――代数篇/対称性・数え上げ

  • パラモノヴァ他著・武部尚志訳(蟹江幸博監修)/A5判144頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-239-9
    ■オイラーの流れをくむロシアの数学は、若い才能を育てることにも力をそそぐ伝統がある。1934年からモスクワ大学で高校生向けの公開講座が開かれ、コルモゴロフ、ゲリファント、ポントリャーギンなど伝説的な数学者が講義をしてきました。その伝統を受け継ぐモスクワ独立大学での講義から、選りすぐって翻訳。 ■本巻は、次の三つの話題からなる:パラモノヴァ「数学における対象性」、ヴィンベルク「多項式の対称性」、コーハシ「ルーク数とルーク多項式」。■最初の2つは「対称性」を数学的にどう考えればいいか、「対象性」を利用するとどのようなことが計算できるか、を解説。3つ目の「ルーク」とはチェスの駒で、日本の将棋の飛車と同じ働きをするもの。そのルークを互いにとることができないようにチェス盤の上に置く置き方の和を数えようというのが主題である。


    モスクワの数学ひろば4――解析篇/微分積分・物理の問題

  • チホミロフ他著・田邊晋訳(蟹江幸博監修)/A5判156頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-240-5
    ■オイラーの流れをくむロシアの数学は、若い才能を育てることにも力をそそぐ伝統がある。1934年からモスクワ大学で高校生向けの公開講座が開かれ、コルモゴロフ、ゲリファント、ポントリャーギンなど伝説的な数学者が講義をしてきました。その伝統を受け継ぐモスクワ独立大学での講義から、選りすぐって翻訳。 ■本巻は、次の2つの話題からなる:チホミロフ「微分法――その理論と応用」、シュービン「物理問題の数学的解法」。■前半は、微分積分の初歩を歴史的背景なども込めて魅力的に提示したものです。微分積分が、より深く自然法則を理解するために不可欠な道具を提供していることを実感できます。後半は、微分方程式の初歩に精通すると同時に、古典物理学の重要な概念にも触れることができるよう配慮されています。

    なるほど量子力学 II――波動力学入門

  • 村上雅人著/A5判334頁、本体価格:3000円/ISBN4-87525-235-8
    ■行列力学の誕生からまもなく、シュレーディンガーは電子は波であるという仮定から出発して、微分方程式によってミクロの粒子運動が解析できることを提唱する。 ■行列力学ではハイゼンベルクでさえ解けなかった水素原子の電子構造を、このシュレーディンガー方程式は見事に解法することができたのである。この式は、すでに100年以上前に数学者によってよく研究されていたためでもある。 ■ほとんどの教科書では、いかに水素原子の電子構造がシュレーディンガー方程式によって明らかにされたかという基本過程を詳らかにせず、その解の最終形が与えられているだけである。 ■本書では、その過程を、できるだけ詳細に示した。そのため、ラゲール陪微分方程式やルジャンドル陪微分方程式、その解であるラゲール陪関数、ルジャンドル陪関数などに、かなりの頁数をさいている。それは、量子力学の基本を理解し、さまざまな応用に役立てるのに避けて通れないと考えたからである。


    三角形と円の幾何学

  • 安藤哲哉著/A5判224頁、本体価格:2000円/ISBN4-87525-234-X
    「数学の王」である幾何学.それは2000年以上にわたり蓄積されてきた知的で偉大な体系である.それを,本書では現代的手法を取り入れつつ数学オリンピックの問題を攻略することをひとつの目標にして論述する.■円や三角形に関する基本的で重要な定理を扱っているが,それらは,学校で習う範囲から一歩踏み込んだ内容であり,国内の教科書ではほとんど取り上げられていない.そのため,数学愛好家・数学者・教育家にも,新しい視点・新しい知見を提供する.■本書は,数学オリンピックを目差す高校生はもちろん,知的で飛躍した着想を楽しむ人びとへの贈物といえよう.


    〈聖史式〉積み重ね型物理学入門力学編

  • 松野聖史著/A5判304頁、本体価格:2000円/ISBN4-87525-233-1
    物理の授業はおもしろいが赤点ばかり。自分はなぜ出来ないのかを大学院まで行って追求した成果である。秀才はこう考えて点数をとっている! それは積み重ね学問として物理学を整理したもので、その基本を知れば、応用が利くことを明らかにした。楽しい本格的な物理学入門。


    産学連携と科学の堕落

  • シェルドン・クリムスキー著、宮田由紀夫訳/A5判280頁、本体価格:2800円/ISBN4-87525-232-3
    大学が企業の論理に組み込まれていく。それは「儲かる」ものにしか目が向かず、「人々のために」といった科学は切り捨てられる。大学が金まみれになっていく現状を報告。【エバレット・メンデルゾーン、ハーバード大学(科学史教授)】:大学の研究が企業の論理にどっぷりとつかり、国民の健康福祉の改善への努力を放棄し、かわりに収支決算の論理の虜になってしまったことの不幸な結末を、本書はわれわれに示してくれる。本書は今まさに求められている研究の成果であり、「公共の利益」のための新しい科学の構築を提唱している。

    STOP! 自殺
    ――世界と日本の取り組み

  • 本橋豊ほか著/46判296頁、本体価格:2400円/ISBN4-87525-231-5
    自殺は減らせる! 秋田県の6町で自殺を半減させた著者が、国連や世界各国の取り組みを調査/報告。先進国中自殺率が最高のレベルである日本の現状を打破するには、社会的に対するまた、個人的に対する働きかけが重要であると訴える。

    <報道が教えてくれない>アメリカ弱者革命
    ――なぜあの国にまだ希望があるのか

  • 堤未果著/46判240頁、本体価格:1600円/ISBN4-87525-230-7
    國弘正雄氏推薦:3100万人もが飢え…2億3000万丁もの銃が国内に散乱しているというのがあの国なのだ。その驚くべき実体を、著者は冴え冴えとした筆致で活写。彼女の筆致には負けた。



    元気です、広島
    ――市民が創る豊な未来

  • 秋葉忠利著/46判270頁、本体価格:1800円/ISBN4-87525-228-5
    地方を愛する、すべての人に贈る――市長として、市政や非核運動にまつわる日々の感想や自分なりの提案を市民に伝えたい。そうした思いで始めたのが、広島市のメールマガジンに掲載されている「春風夏雨」。2005年、被爆から60年を迎えるにあたり、秋葉市長は広島と日本を代表して何を訴えてきたのか。一方で、繁栄する広島市の産業や文化をどう守り、育て、世界にアピールしていくのか。■「国際平和文化都市」、そして「住んでよく、訪ねてよい、千客万来の都市」を創ろうとする秋葉市長の、人と街と自然への愛情あふれるエッセイ。21世紀は「地方の時代」。広島の地にあって八面六臂の活躍をする秋葉忠利が、地方に元気を与えます。


    なるほど量子力学I
    ――行列力学入門

  • 村上雅人著/A5判326頁、本体価格:3000円/ISBN4-87525-229-3
    ■量子力学は、ハイゼンベルクやボルンらによって、行列力学というかたちで、その扉が開かれている。この力学は、物理量が行列で表現できるという奇妙なものであるが、その成立過程を知ることは、量子力学を理解する上で非常に重要なステップになる。 ■残念ながら、量子力学を応用するという立場からは、行列力学よりもシュレーディンガーによって提唱された波動力学の方がはるかに便利かつ簡単であるため、行列力学を取り上げる教科書はほとんど無くなってしまった。 ■ただし、行列力学で培われた概念なくして、量子力学を深く理解することは困難である。また、行列を学習することは、初学者にとってもっとも重要な量子力学がいかにして生まれたかを理解するうえで重要となる。 ■本書では、行列力学がどのような概念のもとに形成されていったかを振り返る。 ■量子力学は確かに難解な学問であるが、まったく手に負えない代物では決してない。そのえられた成果の皮相的な面だけではなく、それが建設される過程と背景を知れば、より身近なものとなろう。


    戦場の疫学

  • 常石敬一著/46判228頁、口絵4頁、本体価格:1800円/ISBN4-87525-226-9
    疫学の疫は「流行病」のことであり、疫学とは「流行病学」のことである。  ペスト菌や炭疽菌といった感染力の強い病原体に侵された患者が発生すると、疫学の 出番である。感染ルートと患者との接触者をいち早く調べあげ、犠牲者をなるだけ少なくする方策が立てられる。人的隔離はもちろんであるが、大規模な流行には交通の遮断・経済封鎖も考 えねばならない。人命救助と社会の安全を目指す医師・研究者の活躍の場 である。  しかし、それが戦争やテロとなると、話は逆になる。相手にダメージを与える手段 が武器となるのである。それもバイオテロなら、相手に気づかれず密かに遂行するこ とも可能である。  戦前、浜松での食中毒や満州におけるペストなどに、まじめに精密に取り組んでい た研究者たち……その一方で、その実績・経験をさらに推し進め、生物兵器の開発が 「防疫研究」の名の下に大規模に画策される。  本書は、「優秀な」研究者たちが総力戦の下で、人体実験を含め細菌兵器の開発・ 実践に突き進んでいくさまを、資料を丹念に読み込み科学史の立場から明らかにし た。著者三十年近くの研究成果。


    オイラーの解析幾何
     

  • L.オイラー著、高瀬正仁訳/B5判570頁、本体価格:10,000円/ISBN4-87525-227-7
    邦訳『オイラーの無限解析』につづき、本巻でもってオイラーの名著『無限解析序説』がついに完訳! わが国の数学会・教育学会に大きな足跡!!


    HQ論:人間性の脳科学
     ――精神の生物学本論

  • 澤口俊之著/46判366頁、本体価格:3000円/ISBN4-87525-225-0
    1989年、著者は『知性の脳構造と進化――精神の生物学序説』(海鳴社刊)で一躍注目を集め、硬軟とりまぜた執筆やテレビなどで活躍してきたが、ライフワークとして、前著の「序説」ではなく、精神の生物学の「本論」をついに完成! 渾身の力を込めて、この世界への貢献を問う。


    なるほど微分方程式

  • 村上雅人著/A5判336頁、本体3000円/ISBN4-87525-224-2
     微分方程式は、数学を何かに応用するさいの基本である。その解法技法は数多く研究され蓄積されている。それを分類し、やさしく解説してまとめた。


    味ことばの世界

  • 瀬戸賢一・山本隆・楠見孝・澤井繁男・辻本智子・山口治彦・小山俊輔著/46判256頁、本体2500円/ISBN4-87525-223-4
     本書は、各方面から好評をもって迎えられた『ことばは味を超える――美味しい表現の探究』の第二弾である。  「より広くより深くより美味しく」をモットーに、食とことばに卓越した多彩な客人を招いて一巻を編んだ。ことばで味わうにとどまらず、脳で味わい、心で味わい、体で味わい、比喩で味わい、語りで味わい、文学で味わう。『ことばは味を超える』が高い評価を得たのも、味そのものではなく、「味をことばでどう表現するか」というテーマがユニークであり、それをおしみなく提示したからだろう。本書は、この基本路線を踏まえて、さらに「なぜ味はことばで表現しにくいのか」という反面の真実にも注目する。つまり、味ことばはいかに「美味しい」と言わないかの勝負なのに対して、私たちはしばしば「美味しい」の一語で満足する。これはなぜか。この謎が明かされる。


    第3の年齢を生きる
     ――高齢化社会・フェニミズムの先進国スウェーデンから

  • パトリシア・チューダー=サンダール著、訓覇法子訳/46判256頁、本体1800円/ISBN4-87525-221-8
    第3の年齢とは、50から70歳ぐらいを指す。子育ても終り、経済力もあり、叡智もある人生最高の年代のはずが、忍び寄る老いにおののき、戸惑い、引っ込みがちなのは何故? 著者自らの煩悶の分析とそこからの脱皮の哲学。スウェーデンで評判の書。


    なるほど熱力学
     

  • 村上雅人著/A5判288頁、 本体2800円/ISBN4-87525-222-6
    本書は自由エネルギーを中心として熱力学を解説している。そのため、従来の教科書とはかなり趣を異にしている。従来の熱力学では、熱機関を中心とした導入部分があるが、熱機関では、本来の物理と異なる複数のプロセスからなるサイクルからできているうえ、サイクルで議論をしてしまうため、私から見てもわかりづらい。本来は、サイクルではなく、サイクルを構成している素過程で論ずるべきである。さらに、状態関数であるエントロピーの導入の説明には首を傾げたくなる部分も多い。そこで、本書では、ある程度熱力学の有用性を理解した後で、熱機関について考察をしている。 ■弁解ではないが、本書の内容もすべて完結しているわけではない。特に、熱機関の効率に関しては多くの反論が出るのを覚悟で、あえて挑戦的な内容を展開している。(「はじめに」より) ■これまでの熱力学の解説書は、現象論的で難解なものであった。本書では数学的考察を中心に展開した今までにないユニークな内容となっている。そのため、この分野の基本的・標準的な書籍として評価されよう。


    書評



    評伝 岡潔 星の章
       (高瀬正仁著) 
    独創的な数学者の謎の時代を解明する

    東京新聞・2003.9.1. 評者・佐々木力

    ■フランスのある数学者との会話を思い出す。彼は日本人で詩的なフランス語で数学論文を書く学者がいるという。私はそのような数学者の名前に該当する人はただ一人しか存在しないと考え、岡潔の名前をあげた。正解であった。
    ■数学を客観的な合理的思考の規範的学問のように考えている人がいるが、必ずしもそうではない。美しい数学はどういう数学かなどで評価は人ごとに大きく異なる。その意味で数学は音楽に似ている。
    ■本書は、日本の近代数学を代表する一人岡潔の前半生の評伝である。岡は多変数解析関数論の未解決問題のいくつかに挑戦し、ものの見事に解決したことで著名な数学者である。数学者には、博識な型と、深く沈潜する思索型の両者がいるが、岡は典型的な後者のタイプであった。彼は世事に疎く、大学生活の多くを他人に依存しなければならなかった。だが、前人未到の数学の深い領域に分け入り、海外の大数学者から賛辞を寄せられた。
    ■本書は、岡のこれまで知られざる一時代の出来事の解明に成功している。それは最も独創的な考えを産み出した時期にあたる一九三六年以降の数年である。岡は当時三十代後半であり、広島文理科大学(現在の広島大学)助教授であった。著者がさまざまな史料によって確認したところによれば、岡は当時明確に「狂気」の境域にあった。私もこの事実を初めて知った。独創的な発想と精神の状態との関連を知る上で、きわめて重要な研究と言わねばならない。
    ■岡潔は戦後、文化勲章を受章し、その後は『春宵十話』を始めとする日本の「民族精神」を称揚する著書を世に問うことになる。人はこの言動で岡の名前を記憶にとどめているかもしれない。
    ■本書は既成のエッセイを編集してなったものであり、重複をもっと整理して欲しかったという注文がないではないが、情熱はよく伝わってくる。姉妹編の「花の章」を待望する。


    ことばは味を超える
       (瀬戸賢一編著) 
    「リズムのある味」なぜいわない?

    朝日新聞・2003.3.9. 評者・新妻昭夫

    ■読みすすみながら、「じゃあ、こんな例はどう考えるのか」と、ゼミに参加しているような気分を楽しんだ。若手や中堅の研究者の本が広く読まれることはまれだが、本書はその数少ない例外となるだろう。第一の理由は、食べ物の味をどう表現するかという、誰もが食指をうごかされるテーマにある。感覚生理学からいえば、味には「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」「旨み」の五種類しかないのに、「味ことば」は無数といってよいほど多彩だ。
    ■「うまい」の反対語は「まずい」。「おいしい」の反対語は「おいしくない」。「甘い音色」や「甘い夢」は英語でも同じようにいう。しかし「ネジが甘い」や「甘い考え」という表現は英語にはない。思わず「どうして?」とつぶやいてしまう。まだまだある。「深い味」というが、味の深さを物差しで測れるわけがない。深さという視覚のコトバで味わいを喩えているのだが、喩えにはメタファー(隠喩)とメトニミー(換喩)とシネクドキ(提喩)とシミリー(直喩)があり……詳しくは本書参照。「味ことば」はじつに「奥が深い」。
    ■私がとくに興味をもったのは「一方向性の仮説」。「甘い響き」とはいうが「リズムのある味」とはいわない。「暖色」とはいうが「赤みのある温度」とはいわない。なぜなのか? 「〔触覚→味覚→嗅覚〕→〔視覚→聴覚〕」という関係があり、音の「響き」という聴覚刺激(原感覚)を受けたとき、「甘い」という味覚刺激(共感覚)が呼び覚まされ、逆方向はないという説だ。この仮説が成立するならば、味を表現できる共感覚は触覚しかないことになる(「まったりとした豚骨スープ」)。
    ■だが、グルメ評論にかぎらず、味を表現する共感覚コトバはいやになるほど豊富だ。実態はどうなのか、著者たちは美食エッセイなどを参照するだけでなく、ぱそこんで「Google」を活用する。たとえば「丸い味」と「赤い味」を検索すると、重複例などを除いて202件と26件がヒット。叩き台としての仮説と、誰にでもできる調査方法が、読者を議論の軸に誘いこむ仕掛けとなっている。

    うそつきのパラドックス   (山岡悦郎著) 
    言葉で二千数百年の謎を解く

    毎日新聞・2002.2.3. 評者・左近司祥子

    ■人間は大昔から謎解きが好きだった。自然科学の出現もその結果である。あげく、人間は自分で謎を作りあげてまで、その解明を楽しもうとした。なぞなぞも、推理小説もそれである。でも時には、自分の作った謎に足を取られて動けなくなってしまうこともある。その一例が『うそつきのパラドックス』だ。
    ■これは古代ギリシャで考案された当初「うそつきのクレタ人」と称されるパラドックスだった。しかし、今では、余分な装飾は取り除いて、「私が『私の発言はうそだ』とのみ発言するとき、私の発言は本当か、うそか」と文章化され、それが『うそつきのパラドックス』と称されているのである。
    ■二千数百年もの間、犯人探しに成功しなかったこの謎が、二十世紀に好んで取り上げられたのには訳がある。二十世紀の哲学の一派である英米哲学の特徴は言語を考えること、しかもその論理構造を数式を交えて考察することであった。そんな彼らにとって言語の曲芸が生んだ『うそつきのパラドックス』は格好のテーマだったのだ。
    ■著者は、英米の哲学者達が、どんなやり方で犯人探しをしたかを、丁寧に、しかも、要領よく紹介してくれる。取り上げられるのはラッセルに始まりシモンズに終わる錚々たる学者達である。とは言え、彼らは、ラッセルを除けば、サルトルほどにも私達には知られていないのだ。それは、彼らが、言葉の問題を論理数学的に扱ったからだ。最近の新聞記事を引用するまでもなく、私達の多くは、数学嫌いである。記号と数式アレルギーである。それらを駆使した論証など、初めから聞きたくもないのだ。
    ■その事情を理解している賢い著者は、本当なら数式を使えば簡単に話が進むだろうところでも、言葉を尽くし、言葉で説明しようと努力する。数式が出てくるのは、この本の最後の最後、やむをえずという形でである。だから、この本なら、文系の私でも読み通せるのだ。そして、今まで馴染みのなかった二十世紀の英米の哲学者の仕事が少し身近になってくるという余得も味わえる。
    ■著者がラッセルたちの解決策をことごとく拒否していく根拠は、彼らの議論が ad hoc な(この問題を解くだけのその場限りの)議論であることと、自然な言語習慣を無視したものであることの二点である。だから、最終章で明かされる彼の「犯人」はこの二点をクリアーした「コロンブスの卵」的な、あっと驚きはするものの、やっぱりねと納得できる犯人である。ただそれが犯人なら、なぜ「私の発言は本当だ」との発言の場合には問題が生じないのかにも言及が欲しかった。


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